ハッシュテーブルのクアドラティックプロービング法についての解説


まず、ハッシュテーブルの基本的な仕組みについて説明します。ハッシュテーブルは、キーと値のペアを格納するためのデータ構造であり、ハッシュ関数を使ってキーをハッシュ値に変換します。ハッシュ値は、配列のインデックスとして使用され、値はそのインデックスに格納されます。これにより、データの追加、検索、削除が高速に行えます。

次に、クアドラティックプロービング法について説明します。クアドラティックプロービングは、ハッシュテーブルで発生する衝突(複数のキーが同じハッシュ値を持つ場合)を解決するための手法の一つです。クアドラティックプロービングでは、ハッシュ値に一定のオフセットを加えて、次の利用可能なインデックスを見つけるまで探索します。具体的な手順は以下の通りです。

  1. キーのハッシュ値を計算する。
  2. ハッシュ値をハッシュテーブルのサイズで割り、インデックスを求める。
  3. インデックスがすでに使用されている場合、クアドラティックプロービングを行う。
  4. クアドラティックプロービングでは、オフセットを加えた次のインデックスを計算する。オフセットは、通常はインデックスの二乗を使用する。
  5. 次のインデックスが利用可能であるかを確認する。利用可能であれば、そのインデックスに値を格納する。利用不可であれば、再度クアドラティックプロービングを行う。
  6. 上記の手順を繰り返し、利用可能なインデックスが見つかるまで探索を続ける。

以上がクアドラティックプロービング法の基本的な手順です。実際のコード例を示します。

class HashTable:
    def __init__(self, size):
        self.size = size
        self.table = [None] * size
    def hash_function(self, key):
        return hash(key) % self.size
    def quadratic_probing(self, index, i):
        return (index + i2) % self.size
    def insert(self, key, value):
        index = self.hash_function(key)
        i = 0
        while self.table[index] is not None:
            index = self.quadratic_probing(index, i)
            i += 1
        self.table[index] = (key, value)
    def search(self, key):
        index = self.hash_function(key)
        i = 0
        while self.table[index] is not None:
            if self.table[index][0] == key:
                return self.table[index][1]
            index = self.quadratic_probing(index, i)
            i += 1
        return None
    def delete(self, key):
        index = self.hashfunction(key)
        i = 0
        while self.table[index] is not None:
            if self.table[index][0] == key:
                self.table[index] = None
                return
            index = self.quadratic_probing(index, i)
            i += 1
# ハッシュテーブルの使用例
hash_table = HashTable(10)
hash_table.insert("apple", 1)
hash_table.insert("banana", 2)
hash_table.insert("orange", 3)
print(hash_table.search("banana"))  # Output: 2
hash_table.delete("banana")
print(hash_table.search("banana"))  # Output: None

このコード例では、クラスHashTableがハッシュテーブルの実装を担当しています。__init__メソッドでは、指定されたサイズの配列を作成し、ハッシュ関数hash_functionとクアドラティックプロービング関数quadratic_probingも定義されています。

insertメソッドでは、キーと値のペアをハッシュテーブルに挿入します。衝突が発生した場合は、クアドラティックプロービングを行い、利用可能なインデックスを探索します。

searchメソッドでは、指定されたキーに対応する値を検索します。衝突が発生した場合も、クアドラティックプロービングを行い、対応する値を見つけます。

deleteメソッドでは、指定されたキーに対応するエントリを削除します。

上記のコード例を使用することで、クアドラティックプロービングを使ったハッシュテーブルの実装方法を理解し、自身でカスタマイズや応用を行うことができます。