Gitのフックは、リポジトリ内の特定のイベントに応じて実行されるスクリプトです。主なフックの種類には、以下のようなものがあります。
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pre-commitフック: コミットが実行される前に実行されます。このフックを使用すると、コードスタイルのチェック、テストの実行、コミットメッセージのバリデーションなど、コミットに関連する事前処理を実行できます。
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pre-pushフック: プッシュが実行される前に実行されます。このフックを使用すると、プッシュ前にテストスイートを実行したり、リモートリポジトリへのアクセスを制御したりすることができます。
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post-commitフック: コミットが実行された後に実行されます。このフックを使用すると、コミットに関連する事後処理を実行できます。たとえば、自動的にドキュメントを生成したり、通知を送信したりすることができます。
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post-checkoutフック: ブランチの切り替えが行われた後に実行されます。このフックを使用すると、ブランチの切り替えに応じてファイルの変更や環境の更新を行うことができます。
これらは一部の一般的なフックの例ですが、Gitには他にもさまざまなフックがあります。フックは、リポジトリの.git/hooksディレクトリ内に格納されており、実行可能なスクリプトとして保存されます。フックスクリプトは、シェルスクリプトや他のプログラミング言語で書くことができます。
フックを作成するには、まず.git/hooksディレクトリに移動し、フックの名前となるスクリプトファイルを作成します。フックスクリプトは、特定のイベントに対応する関数やコマンドを含める必要があります。スクリプトファイルを実行可能にするためには、chmodコマンドを使用してパーミッションを設定する必要があります。
フックスクリプトは、リポジトリの中でチームやプロジェクトの要件に合わせてカスタマイズできます。例えば、コミットメッセージのフォーマットを確認するための正規表現を追加したり、プロジェクトに特有の静的解析ツールを実行したりすることができます。
以下に、pre-commitフックのサンプルスクリプトを示します。
#!/bin/bash
# コミットメッセージのバリデーション
commit_msg=$(cat $1)
pattern="^Issue #[0-9]+: .+"
if ! [[ $commit_msg =~ $pattern ]]; then
echo "コミットメッセージは 'Issue #[数字]: メッセージ' の形式で記述してください。"
exit 1
fi
# コードスタイルのチェック
if ! pylint --rcfile=.pylintrc *.py; then
echo "コードにスタイルエラーがあります。修正してください。"
exit 1
fi
# テストの実行
python -m unittest discover -s tests -p "*_test.py" -v
このスクリプトでは、コミットメッセージのバリデーション、コードスタイルのチェック、テストの実行を行っています。もちろん、必要に応じてスクリプトをカスタマイズすることができます。
Gitのフックは、効果的な開発ワークフローの一部として使用できます。カスタマイズされたフックを使用することで、コード品質の向上、一貫性の確保、不要なエラーの防止などを実現することができます。