ベルマンフォードアルゴリズムの原理と実装方法


ベルマンフォードアルゴリズムの原理は比較的単純です。アルゴリズムは、最短経路の推定値を保持する配列を初期化し、各頂点への最短経路の推定値を無限大(または十分に大きな値)で初期化します。その後、各辺に対して繰り返し処理を行い、最短経路の推定値を更新します。具体的には、各辺 (u, v) に対して、頂点 v への最短経路の推定値を、頂点 u への最短経路の推定値と辺の重みの和と比較し、必要に応じて更新します。この更新処理をグラフ内のすべての辺に対して繰り返します。最後に、最短経路の推定値が更新される場合、グラフ内に負の重みの閉路が存在することを示すことができます。

以下に、ベルマンフォードアルゴリズムの実装例を示します。以下のコードは、頂点の数をV、辺の数をEとし、グラフを隣接リストとして表現する場合のものです。

// 頂点の数
int V;
// 辺の構造体
struct Edge {
    int src, dest, weight;
};
// グラフの辺のリスト
std::vector<Edge> edges;
// 最短経路を求める関数
void BellmanFord(int src) {
    // 最短経路の推定値を保持する配列
    std::vector<int> dist(V, INT_MAX);
    dist[src] = 0;
    // 辺の数-1回の繰り返し処理
    for (int i = 0; i < V - 1; ++i) {
        for (const auto& edge : edges) {
            int u = edge.src;
            int v = edge.dest;
            int weight = edge.weight;
            if (dist[u] != INT_MAX && dist[u] + weight < dist[v]) {
                dist[v] = dist[u] + weight;
            }
        }
    }
// 負の重みの閉路の検出
    for (const auto& edge : edges) {
        int u = edge.src;
        int v = edge.dest;
        int weight = edge.weight;
        if (dist[u] != INT_MAX && dist[u] + weight < dist[v]) {
            std::cout << "負の重みの閉路が存在します" << std::endl;
            return;
        }
    }
// 結果の出力
    for (int i = 0; i < V; ++i) {
        std::cout << "頂点 " << i << " への最短経路の長さ: " << dist[i] << std::endl;
    }
}

上記の実装では、BellmanFord関数がベルマンフォードアルゴリズムを実行します。最初に、最短経路の推定値を保持する配列distを初期化します。次に、辺の数-1回の繰り返し処理を行い、各辺の重みを考慮して最短経路の推定値を更新します。その後、負の重みの閉路が存在するかどうかを確認し、結果を出力します。

このアルゴリズムの実行時間はO(VE)であり、Vは頂点の数、Eは辺の数です。したがって、グラフが非常に大きい場合には効率的ではありません。このような場合は、ダイクストラ法や他の最短経路アルゴリズムを検討することもできます。